
あらすじ◆
“足軽は往来で上士と出会えば平伏しなければならない”藩の仕来りが枷となって起きた衝動殺人。仇は脱藩し逃走した。上遠野関蔵は斬殺された親の仇を討つために、新婚早々あだ討ちの旅に出た。
30年後、関蔵は仇の寺田金吾に再会する。年老い、疲れ果て、物乞いに身をやつした二人が抱く感情は…。
34年後、関蔵は我が家に帰った。美しい庭は一面の畑に。家督を預け留守中の家族の面倒を任せた伯父と後を継いだその息子は、家族を見捨てていた。しかし、妻の喜代は庭を畑に変えて、帰りを待っていた。関蔵は帰参願いをすべく、家老のもとへ向かう。そして…。
解説◆
乙川優三郎作品の劇化は、過去に1作あるだけで、前進座では初めてです。原作は「屋烏(おくう)」(講談社文庫)に収録されている「穴惑い」。あだ討ちを背景に、34年間、仇を追い続けた夫と、帰りを待ち続けた妻。二人に何が起こり、何を失い、そして再会後、何を取り戻していったのか。武家の仕来りと武士のあり様が如何に窮屈であるか。34年の空白のあと、再び夫婦の絆を築いた初老の男女の物語。ほのぼのとした感動が残るお芝居です。