
あらすじ◆
1945年(昭和20年)、5月28日、横浜大衆演劇一座“三春乃一座”は、座員がたった四人の状態。そこへ、特高警察に追われた演劇青年と高等女学校の女性教師、その教え子が迷い込んできた。彼らを巻き込み、勢いで上演が禁止されていた『極付 国定忠治』を上演することになる。いよいよ稽古開始、というその時、青年の幼馴染が親友の死を告げにくる。さらに、特高警察に踏み込まれ……。
そして、5月29日、横浜は大空襲に見舞われ、横浜全市がほぼ消失してしまい、座員も散り散りに。31日未明。上演予定日の朝が白々と明けてくる。しかし、会場には座長と頭取の姿しかなかった。果たして、座員らは無事なのか? 焼け野原の中で幕を開けることができるのだろうか?
解説◆
戦後60数年を経た現在、私たちは戦争の悲惨さや辛さを映像や文章でしか知り得ることができません。同時に、戦時中は暗いものだ、と潜在的に思い込んでいるところがあるのではないでしょうか。しかし、どんな状況下でも、人は笑いを求め、明るく前向きに生きようとしたのが事実のようです。そんな理屈ではない人間の根底にある魂の部分を大いに揺さぶることのできる人情喜劇を目指し、制作しています。
2002年、10月、横浜での初演以降、毎年、都内と横浜で上演を重ねてきた作品です。現在、多方面で活躍中の劇作家・篠原久美子による書き下ろし。終戦間際、敗色の濃くなった横浜を舞台に、戦時下で明るく前向きに生きた人々の物語です。