888『千羽鶴』 劇団文化座
 戦争や核兵器の残酷さを直接訴えるのではなく、一人の少女の生の輝きとカナダの少年の真摯な心のありようを通して平和の尊さが滲み出てくる、若い力に溢れた舞台です。
作 ◆コーリン・トーマス
訳 ◆吉原 豊司
脚色◆比佐 廉
演出◆磯村 純
出演◆小林 悠記子
   高橋 未央
   長束 直子
   青山真利子
白幡大介
有賀ひろみ ほか
【あらすじ】
 カナダの少年バディは核戦争に脅えていた。無力感から、ピースウォークに行こうという友達の誘いにも乗ろうとしない。母親も彼の心配に取り合ってくれない。
 バディの恐怖は広島に投下された原子爆弾に発していた。熱線、爆風、放射線。しかも原爆を潜り抜けたはずの一人の少女が10年後に発病し亡くなったという事実。
サダコは2歳の時に広島で被爆するも活発な少女に成長した。しかし突如原爆による白血病を発症、闘病生活を送ることになる。苦しみと悲しみの中、折り鶴を千羽折ると病気が治ると信じひたすら鶴を折り続けた。
 バディの恐怖は高じ、家の地下室を防空壕にして立て籠ってしまう。母親や友達の言葉にも耳を貸さず頑なになってしまった心は開かれるのだろうか?

【解説】
 広島で被爆、10年後に原爆症を発症し12才の若さで亡くなった佐々木禎子さん。闘病中、千羽鶴を折り続けた彼女は、「原爆の子の像」のモデルとなり、今や平和祈念の象徴として世界中に知られる存在です。
 文化座は1985年、禎子さんと核に怯えるカナダの少年の話から成る『千羽鶴』を上演しました。しかし未だ世界から戦争やその種子の絶えることはなく、核兵器も依然その存在を誇示し続けています。現在の世界状況に対して、また若い世代への継承をめざして、新たなスタッフ、キャストでぶつかり、高い評価を受けました。
 戦争や核の理不尽さに打ちのめされながらも健気に立ち向かう子供たち。そこに政治的思惑や駈引きを超えた私達の進むべき道が見えてくるはずです。

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