888『紙屋悦子の青春』 木山事務所
 2010年は戦後65年。理不尽なものへの批判をこめて、あの「夏の記憶」を多くの語り合うことができたら……。戦争と青春の詩が、見る人をさざ波のように刺激し深い余韻を残すでしょう。
作 ◆松田 正隆
訳 ◆
脚色◆
演出◆福田 善之
出演◆
・広瀬 彩(予)
・森尾 舞(予・俳優座)
・南保 大樹(予・東演)
森 源次郎(予・Pカンパニー)

【あらすじ】
 昭和20年3月。紙屋家の居間。若い夫婦と、妻の同級生で夫の妹でもある娘(悦子)の三人暮らし。その悦子に海軍航空隊の予備学生との縁談が持ち込まれた。その相手が、悦子がひそかに好意を抱いていた青年(同じく予備学生)の紹介と知って、悦子の気持が動揺する。
 翌日、ぎこちなく二人の「お見合い」は進んでいく。悦子を紹介した予備学生は、特攻隊員として明日沖縄奪回のために、鹿屋基地から飛ぶことになったと告げて去る。
 やがて奥の部屋から悦子の嗚咽が聞こえてくる……。

【解説】
 現代演劇をリードする劇作家の一人松田正隆の珠玉の作品。「国歌」に命を捧げる海軍航空隊の予備学生と、若いモンペ姿の娘の純愛を、繊細な筆致で描く。沖縄奪回へ飛び立つ青年の思いが、現代の「平和」な状況を痛烈に衝つ。ユーモラスでリリカルな描写の中に、声なき声があちこちに木霊する。戦後生まれの松田作品を戦前生まれの福田善之が、清新な俳優たちとともに、練達の腕で演出し、「戦争と青春」の叙事詩を編む。1999年の初演の成果は紀伊國屋演劇賞受賞の大きな要因となる。02年近畿、関越を巡演。「壁の中の妖精」「はだしのゲン」に続く、木山事務所のヒューマンドラマとして満を持して発信する。

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