| 888『月のしずく』 | イッツ・フォーリーズ | ||||
| 埋め立てられた海とともにプライドもなくしてしまった男たちの行場のない切なさと、月の光のような透き通った優しさを表現した透明感あるドラマ・ミュージカル | |||||
![]() | 作 ◆浅田 次郎(原作・文藝春秋) 訳 ◆ 脚色◆佐藤 万里(脚本・作詞) 演出◆菊池 准(劇団昴) 出演◆井上 一馬 茂木 沙月 大塚 庸介 安藤 聖 | ||||
| 【あらすじ】 千葉の埋立地で、30年近くもコンビナートの荷役をしているやもめの佐藤辰夫。十五夜の晩に、彼が偶然道で出会った美しい女と過ごしたたった三日間の物語。 いつも通り、辰夫は仕事終りに仲間と飲んで帰った晩に、車通りのない国道で、不倫相手の松岡と言い争いをして車から放り出された美しい銀座のホステス、エリと出会う。年の離れた美しい彼女とは不釣合いと分かりながら、恋をするようになる辰夫。彼女のお腹には松岡の子どもがいたが、堕ろすために一緒に病院についてきてほしいと頼まれる。不倫相手の身代わりを決心し、辰夫は松岡がリエにプレゼントした同じ時計を買いに迷路のような銀座へ向かうが、彼女にはその気は全くなかった。 | |||||
【解説】 浅田次郎原作の短編集をミュージカル化。原作者は同じ時期に著作した「鉄道員」が太陽ならば、タイトル通り月のような作品だと言っている。少し欠けてしまってもそれでも優しく静かに照らし続ける月のように、人もそれぞれ欠けた何かを持ちながら、自分の道を歩んでいく。ミュージカルにし難いこの作品をあえてイッツフォーリーズの新作に選んだのは、言葉にならない「月のしずく」を音楽ならば表現できるかもしれないと考えたからである。人の奥深い心の切なさと優しさ、そして欠けた月と見えない海が包み込む美しい音楽とドラマを大切にしたミュージカル。イッツフォーリーズの井上一馬が自分の新境地として挑んだ作品として好評を得た。 | |||||