888『黙って行かせて』 劇団朋友
 娘が4歳の時に母は家を出た。ナチス親衛隊員になるために。50年後の再会。懺悔と和解を夢見た娘に、母の言葉が突き刺さる。
 「あたしは無罪よ!後悔なんてしたことない!」
作 ◆ヘルガ・シュナイダー
訳 ◆高島市子・ラーベ加代
脚色◆杉浦 久幸
演出◆宮崎 真子
出演◆
・菅原 チネ子
・西海 真理
・相生 千恵子(東京芸術座)
他 劇団朋友
【あらすじ】
 老いて90歳になろうとする母は老人ホームにいました。家族を捨てたことをどう思っているのか、どの程度ナチの犯罪に加担しているか、なぜそういうことができたのか、今はどういう気持ちでいるのか・・・祈るような気持ちで母と再会しました。
 ・・・しかし母は悪びれることなく、残虐きわまりない生体実験の助手をしていたこと、ガス室で死ななかった囚人を生きたまま焼却していたことなどを・・・「自慢」し始めます・・・。
 母の過去を問い詰めてゆきながらも、母娘の絆を必死に求めずにはいられない娘。老いてなお一筋縄ではいかない母。50年の歳月を経て今もなおつづく二人の息もつかせぬ衝撃のやりとり・・・。きれいごとが一切排除された哀しくも壮絶な母娘の物語。
 母娘の絆とは何か、戦争とは何か、
 人間とは何か・・・。

【解説】
 2004年の秋10月に『黙って行かせて~Let me go~』は新潮社より発刊されました。直後、私たちはこの本を手にしてとてつもなく大きな衝撃を覚えました。そして何としても舞台化をしたい…しなくてはならない…という創作への動議づけには充分すぎるものがありました。
 大きな歴史の流れに翻弄され、数奇な人生をたどった母娘といってしまえばそれだけかもしれません。ですが、決してそれだけでは捉える事の出来ないあまりにも大きすぎる事実がそこにはあると思います。
 “決して後悔などしたことがないと言い切る母”“母娘の絆を求めずにはいられない娘”一切のきれいごとを排除した、あまりにも壮絶すぎるやり取り。私たちはこのとてつもなく大きな事実を通して“こうあるべきだ”“こうでなくてはならない”などと主張するつもりは毛頭ありません。皆様に、母娘・家族の絆とは何か…、戦争とは何か…、人間とは何か…、生きるとは何か…。明日という未来、伝え遺していく未来のために共に考えていきたいと思います。出来得る事ならば、お芝居を観て考えたことを誰かに語っていただきたいと思います。

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