888『紙屋悦子の青春』 劇団新人会
 第二次世界大戦中の九州に暮らす小さな家族の生活の中で、笑ったりケンカしたり…温かく優しい時間。しかし戦争は幸せな青春を壊し、命まで奪ってしまう。
作 ◆松田 正隆
訳 ◆
脚色◆
演出◆前田 昌明
出演◆都筑 直美
   萩原 萌
   
   
【あらすじ】
 この作品は昭和20年3月太平洋戦争末期の九州の小さな家族の物語です。
 両親は東京へ行った時、東京大空襲に遭遇し亡くなっている。悦子は国鉄職員、兄、安忠は特殊技師、女学校からの親友で兄の妻ふさと暮らしている。
 日常生活の中でのちょっとした行き違いで小さなケンカをしたり、ヤキモチを妬いたり・・・似たようなことがあったなと思い当たるような人間の可笑しみをたっぷり描いています。
  そんな平凡な家庭にも戦争は忍び寄ってきます。
 兄の安忠は熊本の工場にとられ、悦子が思いを寄せている明石少尉は特攻隊に志願。明石は愛する悦子に航空技師の永与をお見合い相手として紹介するのです。

【解説】
 太平洋戦争末期、九州に暮らす小さな家族を描いた芝居です。
 平凡な日常生活の中で、笑ったりケンカしたり・・・温かくやさしい時間。戦争は普通に生活している人々の運命を変え、命まで奪ってしまう・・・。
 芝居の冒頭、老夫婦の会話で
 「なして・・・おいは・・・生きとるとやろか・・・」
  「なして死にきらんやったとやろか」
 幸せに人生を終えようとしている二人はずっと、幸せになった後ろめたさを感じてきたのでしょう。
 作者、松田正隆氏は、ご自分のお母様の人生を書いたそうです。
 ほんの60数年前にこんな思いを味わい、人生を大きく変えられ、今もそれを抱え続けている人たちがいる中で、早くも灰色の雲が近づきはじめている今だからこそ、このお芝居を観ていただきたいと強く願っています。

 [戻る]