888『夏きたりなば』 トム・プロジェクト
ギャグの笑いが多くを占める作品の中、ギャグを使わずに泣き笑いが出来る作品が少なくなっている昨今、この作品は、それが出来る数少ない作品と思います。古くて懐かしい『家族の匂い』だが、今の時代新しい感覚を覚えてくる。そして、決して忘れてはいけない、失ってはいけない匂いがあると思います。
作 ◆ふたくち つよし
訳 ◆
脚色◆
演出◆ふたくち つよし
出演◆
・仁科 亜季子(アズユー)
・森口 博子(予・ノーリーズン)
・田島 恒(トム・プロジェクト)
青木 勇二(エフ・エム・ジー)
【あらすじ】
 山本家のある夏の日の週末。主婦、紀子が朝食の後片付けや掃除に余念がない。今日は未だ独身の妹の博美が「大事な人」を連れて来る日なのだ。しかし、何時とも変わらない休日の朝を迎えたこの家の主人正夫や一人娘の早苗はマイペースで紀子をいらだたせる。
 大学は出たものの、紀子の思いとは裏腹に就職もせずボランティアに生きがいを見つけている早苗も又、紀子の悩みの種なのだ。
 そんな中、博美が一人でやって来る。いぶかしむ紀子に博美は、実は今日連れて来る人は自分が在宅ケアーで廻っている一人暮らしの老人なのだと打ち明ける。その人に、家族の暖かな雰囲気を味合わせたいというのだ。
 そんな事をすればかえってみじめになるだけだと反対する紀子を、博美と早苗、そして正夫も加わって説得し、何故かその老人を正夫の父親に仕立て上げ、家族の一員として迎えようとの計画で盛り上がる。
 そして、いよいよその老人がやって来たのだが・・・。
 ふと何気ない日常の中に訪れた老人とそれを取り巻く人々を通して、家族の絆、家族の有り様が綻びながらも、やがてそれぞれの新しい明日が・・・。

【解説】
 幼児虐待・通り魔殺人など昔にはなかったような事件が、毎日のように新聞を賑やかす。何故なのだろうか。人の体温の重要性を、演劇のチカラを借りてアピールできないものか?         ふたくちつよしが、今一番こだわっているのが家族である。現代社会に蔓延している病の源流をさかのぼっていけば、家族のあり方に突き当たる。夫婦の冷め切った関係、親子の断絶等々。社会,組織のもっとも基本形である家族・家庭が崩壊していけば…おのずから問題が生ずるのは自明の理である。あたりまえにして、もっとも大切な『家族』の問題を訴えて生きたい。

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