| 888『ダモイ』 | トム・プロジェクト | ||||
![]() | 作 ◆辺見 じゅん 訳 ◆ 脚色◆ふたくち つよし 演出◆ふたくち つよし 出演◆ ・平田 満(アルファエージェンシー) ・荒谷 清人(M・M・P) ・新納 敏正(今井事務所) | ||||
| 【あらすじ】 人生は偶然で始まる。戦争は必然で始まる。必然は人生を弄ぶ。 『ダモイ』は、第二次世界大戦末期のソ連(当時)によるシベリア抑留が舞台となっている。安息できない日常が描かれると共に、日本人捕虜のひとりである山本幡男の人間像に迫る。ダモイ(帰国)をあきらめない山本のひたむきな姿に周りが感化されていく様子が、人間愛を彷彿させて、美しい。 ところが、運命は容赦しない。ダモイを熱望していた山本に、突如、病が襲いかかる。末期がんであることがわかって、帰国が叶わなくなる。抑留さえなければ、家族との再会は果たせた。戦争という必然が人生の最期にまで追い打ちをかけた。 結局、家族との再会は「遺書」という形で実現する。文書は門外不出であったために、山本を慕う捕虜が文面を暗唱して、家族のもとに「届ける」。偶然が重なって劇的な人生の最後となるが、想い起こせば、戦争という必然が招いた結果であることも見逃せない。 山本を演じた平田満をはじめ、捕虜役の阿南健治と新納敏正の、人情味と人間味に溢れる演技が、舞台の世界を美事に体現していて、胸に沁みた。 (2005年8月12日 週刊金曜日 山関英人) | |||||
【解説】 彼らにとって、ダモイ(帰還)は見果てぬ夢だった 1945年8月8日 ソ連、対日宣戦布告。9日ソ連軍攻撃開始。15日ポツダム宣言受諾。 16日スターリン、トルーマンに北海道北半分占領に関する秘密文書を送る。 トルーマン拒否。極東、ソ連軍との戦闘状態が続く。23日 スターリン指令『日本軍捕虜将兵50万人をシベリアに移送せよ』を発表。9月2日 日本、降伏文書に調印、9日戦闘状態停止。満州や南樺太などの地から軍人、民間人を含め60数万人以上シベリアへ送られる。 1946年12月19日 日本人捕虜の引き上げに関する米ソ協定締結。以後、日本人捕虜の帰還が始まる。 1950年4月22日 タス通信を通じてソ連政府は『日本人捕虜の移送完了』を宣言。この物語はここから始まる。 シベリア強制抑留された人数は、60万人とも70万人とも言われ、シベリアの地で亡くなった人たちは、その一割にのぼり、帰還した人たちは47万数千人。現在、なおも正確な数値はすべて不明である。 | |||||